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Henri Etlinのエラール

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    かつてフランスにHenri Etlinというピアニストがいた。
    調べると1931年にフィリップ・ゴーベールの指揮でショパンのコンチェルトを演奏しているので、19世紀末から20世紀初頭の生まれだろうという事くらいしか寡聞にして知らない。
    同時期のゴーベールの共演者にロベール・ロルタがいるので同年齢くらいか?

    この人はレコードも謎だらけで、まず公式に発売されていたのかどうかも怪しい。
    私の知る限り仏POLYDORから10インチにサン=サーンスの小品、12インチにショパンのエチュード25-7,8,9 をいれたものが一枚。レコード番号がHE1(演奏者の頭文字)などという特別なもので、どうやらプライヴェートレコードのようだ。

    不思議なのは、10インチ盤と、12インチ盤の裏表で、録音条件が全く違う。特にショパンのエチュードは25-7の面と、25-8,9の面で、演奏している場所さえ違うようである。
    唯一共通しているのは、使用されているピアノがすべてエラールだということくらいか。

    さて、前置きが長くなってしまったが、ショパン「エチュード25-7」は出色の演奏である。
    録音はまるで風呂場で演奏しているような残響でプロエンジニアによる録音ではないかもしれない。
    にも関わらず「ニアレジハアジが弾いたらこうなるだろう」というような悲劇的で厳粛な響きにハッと胸を突かれた。エラールはこんなにも深刻な響きをするピアノだったのか。Etlinは余程この曲に思い入れがあったに違いない。

    このエチュードは技巧的な練習ではなく、楽曲の解釈にこそ目的があると思う。四角四面に弾いたらジェビエツキのようにつまらないものとなってしまうし、メロディを過剰に歌わせてドラマティックに偏っても俗悪で軽薄なものになってしまう。名曲10-6とともに、実は非常に難しい練習曲なのだ。

    だれもが顧みないような古レコードだが、かけがえのない大切な一枚。

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