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Sirota, Leo

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    Sirota, Leo (1885-1965)

    日本を愛したユダヤ人ピアニスト先日、ある方から「シロタは日本では人気がないんですよ…」という話を聞いた。世界のコレクターたちが血眼になってそのレコードを探しているレオ・シロタが、日本では人気・知名度ともに低いというのは実に悲しいことだ。

    と、云うのも、レオ・シロタはかのブゾーニの愛弟子であり、ピアノ演奏史に不滅の足跡を残す伝説的なヴィルトゥオーゾということのみならず、日本のクラシックピアノ界最大の恩師であるのだから、これは由々しき問題といえる。

    ユダヤ人であるがゆえに激動の人生を歩んだその経緯については、ぜひ山本尚志氏著「レオ・シロタ〜日本を愛したユダヤ人ピアニスト」をご一読下さい。

    また、レオ・シロタの実娘ベアテ・シロタ・ゴードン女史が、いかに日本国憲法第24条をとおして現代日本社会に影響を与えたかを知るには、「1945年のクリスマス」をご一読下さい。と、なかば手抜きをして、私はレコードの話しに移りたい…。



    レオ・シロタのSPレコードは、【1】英Homocord(1924年頃)、【2】日Columbia(1930年頃)、【3】日テイチク(1940年頃)の三期に渡って残されている。

    しかし、どのレコードも中古市場に出回ることは稀で、纏めてHomocord録音を復刻した仏DanteのCDも今では入手困難になってしまった。この二枚組のCDは、復刻の音質が万全とは言い難く原盤の良さが十分に伝わらないが、シロタの若き日のテクニックを知るうえで一応参考になる資料といえよう。仏Danteは企画自体は良いものが多く、特にYoura Gullerのショパン「ノクターン&マズルカ集」などは、オリジナル盤が必要ないほどの高音質だ。しかし、板起こし系の復刻はおおむねノイズの削りすぎだ。ロベール・ロルタなどのコンプリートは非常に重要な復刻にも関わらず、SP原盤にある活き活きとしたロルタのピアニズムは聞こえてこない。

    Sirota Homocord【1】でとくに印象的なのは、シューマン「交響的練習曲」の12インチ盤6面に及ぶ世界初全曲録音、バラキレフ「ひばり」、ショパン「英雄ポロネーズ」、ショパン=ローゼンタール「小犬のワルツ」、そして恐らく、残念ながらCD収録されなかったチャイコフスキー=パプスト「子守歌」あたりが、シロタのピアノ演奏の特質を知る上で、非常に重要なものだと思われる。CD冒頭の「英雄ポロネーズ」はブゾーニ校訂版を使用しているそうで、長いトリル部分など聞き慣れない箇所が聴き所。


    【2】に残された有名な「ペトルーシュカ」の世界初全曲録音や、ショパン=ローゼンタール「小犬のワルツ」などは、シロタのテクニックを知る上でもとても貴重なレコード。

    【3】は希少性は一番高いものの、それほど傑出した演奏ではないと思う。1940年頃の電気録音。内容も「軍隊行進曲」の一枚みのと思われ【1】と重複しているが、10インチ二面と12インチ一面という違いはある。私の持っている盤は戦時中ということもあるのかあまり保存状態が良くないが、レーベル面に直筆サインがあるのでとても大切にしている。



    次に、LPレコードが【4】米Melos(1950年代)に残されている事が判明した。
    これは恐らくシロタが日本を失意のうちに去り、米国に渡った頃のモノラルLP録音だと思われる。スカルラッティ、バッハ、ベートーヴェン、グリーグ、リスト、ショパン、ヘラー、そしてあまり知られていない作曲家たちの小品が収録されている。


    若い頃のシロタは、ブゾーニを驚嘆させたテクニックでリストのパラフレーズや大曲などをバリバリと征服する典型的なヴィルトゥオーゾだったに違いない。しかし日本で過ごした年月、悲惨な時代の様々な体験を通して、晩年のシロタの演奏は幽玄なまでの美しさ、儚さをにじませるようになる。(つづく)

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